M&Aの流れとポイントを解説。検討段階からクロージング後まで

M&Aの流れを押さえておくと、手続きや契約をスムーズに進めやすくなります。売却でコア事業への集中や創業者利益の確定を目指す場合や、買収で新規事業や海外進出のスピーディーな実現を目指す場合などに、事前に知っておくとよいでしょう。M&Aの検討段階から契約後のクロージングにいたるまでの流れを解説します。

M&Aの流れで重要なポイント

M&Aの流れは複雑で、分かりにくいと感じる部分もあるかもしれません。
まずはM&Aの流れを把握しやすくなるよう、特に重要なポイントを売り手・買い手ごとにチェックします。

売り手側のポイント

売り手側のポイントは以下の4点です。

  • M&Aの目的や方針を明確にする
  • M&Aアドバイザリーを選ぶ
  • 企業や事業の価値を算出する
  • 買い手候補へ打診するための資料を作成する

M&Aを実施するときには、目的をはっきりさせましょう。目的が明確になっていない状態で進めると、成約したとしても期待した結果を得られません。目的をはっきりさせた上で方針を決定します。

M&Aに必要な手続きは自社のみでもできますが、専門知識がないままに実行すると不備があるかもしれません。M&Aアドバイザリーへ依頼すると、利益が最大になるようサポートを受けられます。

また売却するには企業や事業の価値を算出した上で、売却価格を決めなければいけません。買い手候補へ買収を打診するときに提出する資料の作成も必要です。

買い手側のポイント

買い手側が意識すべきポイントもチェックしましょう。

  • M&Aの目的や方針を明確にする
  • M&Aアドバイザリーを選ぶ
  • デューデリジェンスを実施する
  • 経営統合(PMI)の計画を立てる

M&Aで目的を達成するには、買い手側も売り手側と同様に、方針を明確にしてM&Aアドバイザリーのサポートを受けるのがおすすめです。

買い手側は成約後のリスクを回避するため、買収する企業や事業に対して詳細な調査デューデリジェンスを実施しましょう。法務・税務・財務などさまざまな分野の専門家へ依頼し、買収前に調査することで、トラブルを避けやすくなります。

契約締結後の経営統合も重要です。別々の企業や事業を1つに統合するには、風土の違いを理解しつつ制度を整えていく必要があります。

M&Aを実行する具体的な流れ

M&Aの具体的な流れは以下の通りです。

  1. M&Aの目的や方針を定める
  2. M&A仲介企業など、専門家に相談する
  3. M&Aの方針・売却価格などを検討する
  4. M&A先の選定と交渉
  5. 基本合意書(MOU)の締結
  6. 買い手側によるデューデリジェンスの受け入れ
  7. 最終条件の交渉
  8. 最終契約書(DA/SPA)の締結
  9. クロージング
  10. クロージング後~PMI

10のステップに分けたM&Aの流れを詳しく解説します。

①M&Aの目的や方針を定める

M&Aを実施するとき、まず行うのは目的と方針を明確にすることです。例えば事業承継を目的とする場合と創業者利益の確定を目的とする場合とでは、同じ売却でも取るべき手段や希望する条件が異なります。

目的があいまいなままでは、指標がない状態でさまざまな判断を下さなければいけません。結果的に満足のいくM&Aにならない可能性があります。

方針を定め、M&Aを成功に導くために必要なステップです。

目的の明確化に役立つSWOT分析

SWOT分析は自社の状況を客観的に分析するために役立ちます。「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の頭文字の組み合わせでです。

強み 弱み
内部環境 Strength(強み) Weakness(弱み)
外部環境 Opportunity(機会) Threat(脅威)

「Strength(強み)」と「Weakness(弱み)」は企業内部の強みと弱みです。例えば積み重ねてきた独自のノウハウや質の高い商品は「Strength(強み)」、知名度の低さや若手人材の育成が不十分といった点点は「Weakness(弱み)」に分類できます。

「Opportunity(機会)」と「Threat(脅威)」は企業を取り巻く環境の強みと弱みです。業界自体が成長している状況は「Opportunity(機会)」ですが、その分競合も増えているなら「Threat(脅威)」といえます。

②M&AアドバイザリーやM&A仲介など、専門家に相談する

M&Aは自社のみでも実施できます。ただし専門知識が不足していると、手続きに時間がかかりやすいですし、不備が発生する可能性もあるでしょう。

不備なくスムーズにM&Aを実施するには、M&AアドバイザリーやM&A仲介など専門家への相談が有効です。M&AアドバイザリーとM&A仲介の違いも確認しておきましょう。

  • M&Aアドバイザリー:売り手・買い手のどちらか一方と契約し、利益を最大化するようサポートする
  • M&A仲介:中立な立場で売り手・買い手を仲介し、双方の希望条件をすり合わせてバランスのよいM&Aになるようサポートする

利益の最大化を目指す場合やより有利な条件での契約を目指す場合には、M&Aアドバイザリーへ依頼するのが向いています。中小企業や小規模事業者同士のM&Aで、友好的なM&Aを前提としている場合には、M&A仲介へ依頼するとよいでしょう。

専門家へ依頼するときの手順をチェックします。

アドバイザリー契約の締結

依頼する専門家が決まったら、アドバイザリー契約を締結します。契約の形態は「専任契約」「非専任契約」の2種類です。

  • 専任契約:M&AアドバイザリーやM&A仲介のうち1社とのみ契約する
  • 非専任契約:複数のM&AアドバイザリーやM&A仲介と契約する

専任契約では自社の情報を公開するのが1社に限られるため、情報漏えいのリスクを抑えやすいのが特徴です。独占契約のため報酬が保証されることから、M&AアドバイザリーやM&A仲介の社内での優先順位が上がりやすいのもメリットといえます。

一方、非専任契約では複数社と契約することでアプローチ先が広がるのがメリットです。

アドバイザリー契約を締結するときには、契約書で業務内容や範囲・報酬形態などを確認しましょう。

秘密保持契約(NDA/CA)の締結

アドバイザリー契約を締結したら、秘密保持契約も結びます。M&Aを実施するときに公開する情報には、外部に漏れると経営に影響を与えかねないものも含まれるためです。万が一情報漏えいが発覚した場合に、責任の所在を明らかにする目的があります。

自社情報・資料の提出

M&AアドバイザリーやM&A仲介から適切なサポートを受けるには、自社の情報を提供しなければいけません。あらかじめ提供する資料の範囲を定めておくとスムーズです。資料の管理・返却・破棄などについても確認しておくと安心です。

③M&Aの方針・売却価格などを検討する

アドバイザリー契約を締結したら、M&Aの方針を決定します。このとき必要になるのが、「企業価値評価」と「企業概要書(IM)」です。それぞれの役割や特徴を解説します。

企業価値評価の実行

企業や事業を売却するには、売却価格を決めなければいけません。このときに必要なのが企業価値評価(バリュエーション)です。企業価値評価の手法は以下の3種類に分類できます。

  • コストアプローチ(簿価純資産法・時価純資産法など):純資産価値をもとにした評価方法
  • マーケットアプローチ(類似企業比較法・類似取引比準法など):株式市場やM&A市場の取引価額をもとにした評価方法
  • インカムアプローチ(DCF法・配当還元法など):収益力による評価方法

企業価値評価で注意が必要なのは、採用する手法によって企業価値が異なる点です。1つの手法のみで企業価値を判断するのではなく、複数の手法を用いて比較検討することで、妥当な企業価値評価の算出につながります。

企業概要書(IM)を取りまとめる

企業概要書は英語で「Information Memorundom」といい、略してIMともいいます。売り手が買い手候補へ自社をアピールするために、自社に関する情報を記載した書類です。記載する内容をチェックしましょう。

  • 概要:企業情報・事業概要など
  • 事業内容:主要取引先・取引フローなど
  • 事業所:不動産・設備など
  • 組織:組織図・役員構成・従業員構成など
  • 財務状況:損益計算書・貸借対照表
  • 将来の事業計画

買い手候補は売り手の提出した企業概要書を見て、M&A実施の可否を判断します。なお売り手のM&Aの目的によっては、買い手候補も企業概要書の提出を求められることがあります。

④ M&A先の選定と交渉

売り手が提示した売却価格と企業概要書をもとに、買い手候補がM&Aの実施を決め、M&Aを進めることで合意すると、具体的な交渉が始まります。ここで行う「トップ面談」と、買い手候補から提示される「意向表明書」について見ていきましょう。

トップ面談の実行

売り手と買い手の意思決定権者により行われる最初の面談をトップ面談といいます。面談を通して行われるのはお互いの理解を深めることです。

M&A相手の企業がどのような事業を展開しており、どのような社風で、なぜM&Aを実施しようとしているのか、そのためにどのような条件を希望しているのか、などを明確にしていきます。

相手の人柄も重要です。条件が合うことはもちろん、お互いに「信頼関係が十分築ける相手だ」と判断したときに、次の段階へ進みます。

トップ面談は1回で終わることもあれば、希望によっては複数回実施されることも珍しくありません。

意向表明書(LOI)の提示

意向表明書は英語で「Letter of Intent(LOI)」とよばれる書類です。買い手候補が「買収したい」という意思を売り手へ伝えるために提出します。記載する内容は以下の通りです。

意向表明書の提出は省いても法的に問題になることはありません。ただし買い手から正式に買収の意思を伝えると、スムーズにM&Aを進めやすくなるでしょう。

⑤基本合意書(MOU)の締結

売り手と買い手の間でM&Aの実施が決まったら、ここまでに合意した事項をまとめた「基本合意書(MOU)」を締結します。合意した内容を明確にする役割のある書類です。

基本合意書には原則として法的拘束力を持たせませんが、一部の重要な項目については法的拘束力を持たせることがあります。

基本合意書の締結にあたって、確認することをチェックしましょう。

独占交渉権の付与

買い手に独占交渉権を認めることで合意している場合には、基本合意書へ独占交渉権についての項目を設けます。独占交渉権を付与した場合、売り手は定められた期間、他の企業とM&Aの交渉ができません。

1対1で交渉を進められるため、買い手にとって有利な項目である一方、売り手にとってはよりよい条件で売却できる可能性をせばめる恐れがある項目です。無期限や長すぎる期間設定では、売り手が消極的になる可能性があるため、期間は3~6ヶ月に定めることが多いでしょう。

また独占交渉権には法的拘束力を持たせるのが一般的です。売り手が設定した期間中に他社と交渉すれば、違約金を支払わなければならないこともあります。

M&Aスケジュールの確認

成約までのスケジュールを確認する項目では、デューデリジェンスの実施日・最終契約書の締結日・株式譲渡の実行日などを明確にします。

法的拘束力は設けないのが一般的ですが、場合によっては「決算の日にちに間に合わせたい」といった意向があるかもしれません。売り手・買い手双方の事情を確認した上で、スケジュール調整を行い、基本合意書へ記載します。

M&Aスキームの確認

M&Aには以下に示す通り複数のスキームがあります。ケースによって最適なスキームが異なるため、基本合意書には用いるスキームについても記載するのが一般的です。

  • 株式譲渡
  • 事業譲渡
  • 会社分割
  • 株式交換
  • 合併 など

ただし後から変更の可能性もあるため、協議により変更できるようにしておくことが多いでしょう。

譲渡対価の確認

譲渡対価は売り手にも買い手にも重要な項目のため、この時点で合意している価格を算出根拠と併せて記載します。譲渡対価に役員の退職金を含む場合には、その点も記載しましょう。

デューデリジェンスの結果次第では価格交渉の必要が出てくる場合もあるため、変更できるようにしておきます。

⑥買い手側によるデューデリジェンスの実施

デューデリジェンスは買い手が実施する詳細な調査です。買収する企業や事業には、売り手から提出された資料だけでは判断できないリスクがあるかもしれません。

売り手が故意にリスクを隠している場合もあれば、売り手自身もリスクに気付いていないこともあるでしょう。事前に詳細まで調べることで、分かりにくいリスクを見つけるのが目的です。

デューデリジェンスで調査すべき項目は、法務・財務・税務・労務・事業・環境など多岐にわたります。手間も費用もかかるため、親しい企業同士で行うM&Aでは実施されないこともありますが、リスクを回避するには必要な調査です。

調査には専門的な知識が要求されるため、M&AアドバイザリーやM&A仲介を通じて、各分野の専門家へ依頼するとスムーズに漏れなく実施できます。

ここでは法務・財務・税務のデューデリジェンスについて見ていきましょう。

法務デューデリジェンス

法務デューデリジェンスで調べるのは、M&Aの対象企業や対象事業の法的なリスクです。例えば取引先との契約内容に不備はないか、第三者から訴訟を起こされていないか、法令違反をしていないか、などを調べます。

M&A実施後に、買い手が問題なく事業を引き継げる状態が法的にあるか確認するのも、法務デューデリジェンスの調査範囲です。

例えば事業に必要な許認可が、基本合意書に定めているスキームで引き継がれるかを確認します。引き継がれない場合にはスキームの変更を検討しなければいけません。

財務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスでは財務上のリスクを調査します。例えば帳簿上に記載されていない簿外債務の有無をチェックするのは財務デューデリジェンスです。退職給与引当金・未払い残業代・買掛金などは簿外債務になっているケースがしばしば見られます。

例えば未払い残業代があると、従業員から請求された場合、企業は支払わなければいけません。企業や事業の資産を丸ごと引き継ぐスキームでM&Aを実施した場合には、簿外債務も自動的に引き継ぐため、買い手にとってリスクになります。

財務デューデリジェンスで簿外債務があると分かっていれば、スキームの変更や譲渡対価の交渉で対策可能です。

税務デューデリジェンス

過去の税務調査や申告状況・納税の状況などを確認し、税務に関するリスクを調査するのが税務デューデリジェンスです。漏れや誤りがM&A後に発覚すると、買い手は税額の不足分を納め、追徴課税にも応じなければいけません。

あらかじめ納税の有無や必要な金額が分かっていれば、売り手へ負担するよう求められます。また最終契約書締結前のため、事業への影響が大きいと判断した場合には、M&Aの実行を取りやめることも可能です。

⑦最終条件の交渉

デューデリジェンスの結果を受け、基本合意書をもとに最終条件の交渉を行います。調査の結果、M&Aの対象企業もしくは対象事業にリスクがあると判明すれば、ここで価格交渉が行われるかもしれません。

その他に、M&Aによって買い手に引き継がれる従業員の待遇や、売り手企業の経営者による引き継ぎ期間、退職金の金額、譲渡対価の支払い方法なども決定します。

M&A成立後にもめごとが起こることのないよう、細かな部分まで決めておくのがポイントです。契約締結後に条件を変えることはできないため、慎重に交渉しましょう。

⑧最終契約書(DA/SPA)の締結

最終条件の交渉で合意が形成できたら、最終契約書を締結します。実際に締結する契約書は、株式譲渡であれば「株式譲渡契約書」、事業譲渡なら「事業譲渡契約書」とよぶのが一般的です。これらの総称として最終契約書とよばれています。

最終契約書は売り手・買い手のこれまでの合意事項が全て盛り込まれている書類です。法的拘束力を持たせるため、違反した結果損害が生じると、損害賠償請求が行われる可能性もあります。

最終契約書は複雑でボリュームが大きくなりがちですが、締結前に一通り目を通しておきましょう。最終条件の交渉までに合意した内容と異なる項目がある場合には、締結前に修正が必要です。

⑨クロージング

クロージングとは売り手から買い手へ、企業や事業の資産を移動する手続きです。例えば株式譲渡でM&Aを実施する場合、売り手は株式の譲渡のために株主名簿の書き換えを行い、買い手は株式の対価を支払います。

事業譲渡は資産を個別に引き継ぐため、手続きが煩雑になりがちです。取引先や顧客・従業員と締結している全ての契約を個別に移管する必要があるため、1件ずつ契約相手の意向を確認しながら手続きを進めなければいけません。その他の資産の名義変更も必要です。

最終契約書ではクロージングのスケジュールも定めているため、契約書の内容に沿って順に取り組む必要があります。

⑩クロージング後~PMI

クロージング後はPMI(Post Merger Integration)とよばれる統合プロセスを実施します。買い手がM&Aによって期待している効果を十分得るには、PMIの成功が重要なポイントです。

PMIでは別々の組織を1つにまとめあげるため、以下の統合を実施します。

  • 経営体制:組織上の対立が起こらないよう意思決定や体制を統合する
  • 制度:人事・総務・法務などに関わる制度を見直し、従業員の働く環境にまで落とし込んで意見をすり合わせ統合する
  • 業務システム:業務の実施にあたり使用しているシステムを統合する
  • 業績評価基準:統合する2つの組織のどちらかに合わせるのではなく、再策定し改善を繰り返す
  • 事業内容:最も高いシナジー効果を得られる内容になるよう、選択と集中を繰り返す

これらの統合を速やかに行うことで、混乱や反発が起こりにくくなりますし、早い段階でシナジー効果を発揮できます。スムーズにPMIを実施できるよう、手順もチェックしましょう。

  1. 統合の仕方の方針決定:買収企業・事業の自主性の度合を決定する
  2. 統合計画の策定:クロージング後3~6ヶ月の実施計画を定める
  3. 100日プランの策定:クロージング後100日間で実施する中期事業計画を定める
  4. PMIの実施:統合計画や100日プランにもとづき実際にPMIを実施する
  5. 効果検証:PMIを実施した結果を振り返り、トラブルが発生していればフォローアップする

実際にPMIに取り組むのはM&Aの成約後ですが、PMIの計画はM&Aの初期段階から始めるとよいでしょう。デューデリジェンスで得た情報をPMIへ生かしやすくなることが期待できます。

100日プランとは

シナジーの獲得や事業成長にとって重要な施策である100日プランについても見ていきましょう。最終契約を締結してから100日間に行うことをまとめた計画です。PMIの初期段階に集中して取り組むことで、スムーズな統合を実現しやすくなります。

100日プランに取り組むときには、まずプロジェクトチームを立ち上げます。チームメンバーは、売り手企業・買い手企業の双方から適切な人材を選ぶと、それぞれの希望を適切な形で反映しやすくなるでしょう。

チームができたら現状と課題の把握を行います。現状把握にはデューデリジェンスで得られた情報も活用するとよいでしょう。その上で統合の課題となる点を洗い出し、具体的なプランを策定します。

一つひとつの施策には重要度・緊急性・実行可能性で優先順位をつけると、効果的に取り組みやすくなります。比較的短期間で簡単に成果が出る施策を盛り込むのもポイントです。目に見える変化を従業員へ示すことで、モチベーションの向上が期待できます。

M&Aの契約締結後には、速やかに100日プランを実行しましょう。実行して得られた結果を検証し改善するサイクルを繰り返すことで、統合へ向けた効果的な取り組みが可能です。

M&Aの流れで求められる契約書や書類

M&Aの具体的な流れの中には、複数の契約書や書類が出てきました。どれもM&Aを実施するために欠かせない書類です。ここではそれぞれの契約書や書類の役割を確認します。

秘密保持契約書(NDA/CA)

M&Aを行うときには、通常であれば社外に出ることのない情報も伝えなければいけません。伝えた情報が漏れれば、その後の事業展開や業績に影響を及ぼす恐れがあります。

万が一情報が漏れた場合の対策として、責任の所在を明らかにするために締結するのが秘密保持契約書です。一般的には以下のような項目が盛り込まれます。

  • 秘密情報:漏らしてはいけない情報を定める項目
  • 秘密保持義務:秘密情報の扱いに注意を払うことや、第三者へ公表・開示・漏えいしないことを定める項目
  • 秘密情報の開示の範囲:買い手企業の役員・従業員・依頼する専門家など、M&Aを実施する上で秘密情報を開示できる範囲を定める項目
  • 目的外使用の禁止:M&A以外に使用してはいけないことを定める項目
  • 秘密保持義務の例外:例外として秘密情報を開示できるケースを定める項目
  • 秘密情報の返還・廃棄:情報漏えいや目的外使用が起こらないようM&Aの検討修了後に秘密情報を返還・廃棄するよう定める項目
  • 有効期間:秘密保持契約書の有効期間を定める項目。通常は1~3年
  • 損害賠償:秘密情報の漏えいが発覚し、それにより損害が発生した場合の補償について定める項目
  • 準拠法・管轄:紛争が起こった場合の準拠法と裁判管轄を定める項目 など

秘密保持契約書は売り手と買い手の間で締結される他、アドバイザリー契約時にM&AアドバイザリーやM&A仲介との間でも締結されます。

意向表明書(LOI)

秘密保持契約を締結したあと、買い手が売り手へM&Aを実施する意向を伝えるために提出するのが意向表明書です。買い手の希望条件を考慮し交渉する相手を絞り込むために、売り手が提出を求めることもあります。

意向表明書には以下のように、M&Aを行う意思や大まかな条件を記載するのが一般的です。

  • 買い手の企業概要:商号・事業内容・沿革・資本金・グループ企業の概要など
  • M&Aの目的:買い手がM&Aを望んでいる理由
  • M&Aスキーム:買い手が希望しているスキーム
  • 譲渡額:現時点での譲渡額を算定根拠とともに幅を持たせて提示
  • スケジュール:成約までのおおよそのスケジュール
  • 独占交渉権:デューデリジェンスの費用負担後に他社と成約することのないよう、期限を設けて他社と交渉しないよう求める項目

意向表明書はあくまでも買い手の意思を伝えるための書類のため、内容について売り手との合意は必要ありません。この後に行われるトップ面談で、スムーズな相互理解や合意形成につながる項目を盛り込みます。

基本合意書(MOU)

トップ面談の実施後、売り手と買い手で合意した項目を書面にしたものが基本合意書です。

特定の項目を除き法的拘束力を設けないため、仮に締結後に内容の変更や案件の消滅があったとしても、損害賠償は発生しません。

基本合意書を締結する目的は、合意した条件を確認し合い、その後の交渉や手続きをスムーズに進めることです。以下のような内容を盛り込むケースが多いでしょう。

  • スキーム:株式譲渡や事業譲渡など採用するスキームに関する項目
  • 譲渡価格:現時点で合意している譲渡価格に関する項目。変更の可能性がある段階のため、変更手続きについても定める
  • スケジュール:成約までのスケジュールに関する項目
  • デューデリジェンス:買い手の実施する詳細な調査デューデリジェンスの範囲・期間などを定める項目。売り手が協力する旨も盛り込む
  • 役員の処遇:M&A実施後の役員の待遇を定める項目
  • 従業員の処遇:M&A実施後の従業員の待遇を定める項目
  • 保証債務について:経営者が企業や事業の債務の連帯保証人になっている場合の手続きについて定める項目
  • 独占交渉権:1対1での交渉を期間を定め買い手に認めることを定める項目 ※法的拘束力を持たせるのが一般的
  • 秘密保持義務:M&Aの検討を目的に提供された秘密情報の扱いや、万が一情報漏えいしたときの損害賠償に関する項目 ※法的拘束力を持たせるのが一般的
  • 一般条項:一般的な内容で交渉の対象になることの少ない項目

最終契約書(DA/SPA)

デューデリジェンスを実施し、最終条件の交渉で合意を形成したあとに締結するのが最終契約書です。基本合意書の内容をベースにして作成しますが、法的拘束力を持たせる点が異なります。

M&Aの条件を詳細に定めた契約書で、以下の項目を記載するのが一般的です。

  • 定義:契約締結の目的や用語の定義を行う項目
  • M&Aの合意:取引の対象を明確にし、M&Aに合意していることを示す項目
  • クロージングの前提条件:クロージングまでの期日に条件を満たしていない場合、買い手が買収しない選択ができるよう定める項目。MAC条項・キーマン条項など
  • 表明保障:事業・財務・法務などについて、売り手が買い手へ公表した情報が正しいことを保証すると定める項目
  • 誓約事項:クロージング前に取引先へ取引継続の同意を得ることや、クロージング後の競業避止義務などを定める項目
  • 補償条項:補償の対象になる事象が発生したときに相手へ通知することなどを定める項目
  • 解除条件:契約を解除できる条件を定めた項目
  • その他:秘密保持条項・公表条項・分離可能条項など契約書に一般的に記載される項目

最終契約書に記載される内容の中で、契約解除につながる可能性のある「MAC条項」「キーマン条項」「表明保証条項」について個別に見ていきましょう。

MAC条項

MAC条項は「Material Adverse Change」の略で、重大な悪影響を意味します。M&Aの最終契約を締結してから、クロージングが完了するまでの間に、重大な悪影響が発生した場合の契約解除や条件変更について定める条項です。

例えば何らかの理由によって、対象企業や対象事業の収益が大幅に減少した場合には、MAC条項が適用される場合があります。

MAC条項は買い手のリスクをカバーする半面、契約後に発生するリスクを売り手に負わせる内容です。内容についてよく交渉する必要があります。

キーマン条項

対象企業を買収したからといって、直後からスムーズに事業を運営できるとは限りません。滞りなく事業運営を行うために必要なノウハウの獲得や、関係者との関係性構築のために、売り手企業における事業運営の重要人物を一定期間在籍させるのがキーマン条項です。

売り手企業の経営者や役員・重要な役割を担う従業員などがキーマン条項の対象となります。定められた期間の間在籍することが、契約の条件となる条項です。

キーマン条項は対象となる人物の自由を奪います。売り手が売却で得た資金をもとに新たな事業を計画しているというように、次にやりたいことが決まっている場合には、条項を設けたがらないこともあるでしょう。

対象となる人物の負担になり過ぎないよう、期間を長く設定しすぎないのがポイントです。加えて期間中に一定の目標を達成した場合に譲渡価格とは別に料金を支払うことを定める「アーンアウト条項」を設けてもよいでしょう。

表明保証条項

表明保証条項は買い手がリスクを回避できるよう設定される項目です。デューデリジェンスで入念に調査していても、クロージング後に思わぬリスクが見つかる可能性はゼロではありません。

ある時点で売り手が買い手へ提供した情報が正しいものであると表明し保証する表明保証条項を設けると、万が一あとからリスクが見つかったときに、買い手は売り手へ損害賠償請求や契約解除を求められます。

加えてサンドバッキング条項を設定すると、認識していた表明保証条項違反を放置したまま契約し、損失が発生した場合にも、損害賠償を求められます。

また表明保証条項を設定するとき、売り手は明確な情報公開や虚偽申告をしないことがポイントです。不利になる情報であっても正しく開示することで、損害賠償請求や契約解除の可能性を避けられます。

M&Aで求められる可能性のある法的手続き

M&Aを行うときには法的手続きを行わなければならない可能性もあります。具体的にどのような法的手続きが必要になるのでしょうか?

債権者保護手続き

実施するM&A手法が合併や会社分割なら、企業は債権者保護手続きを行わなければいけません。M&Aによって、債権者が「信用できる」と判断した前提条件が変わる恐れがあるためです。

例えば「多額の資産があるから大丈夫だろう」と債権者になった場合、合併や会社分割で対象企業の資産が減少した場合には、当初と状況が変わります。このまま債権を持ち続けるべきか判断し直したいと考える債権者が出てくることもあるでしょう。

このように企業の状況が大きく変わるタイミングで、債権者を保護するために行われる手続きが債権者保護手続きです。どのような流れで実施するのか、債権者保護手続きが不要なケースについて解説します。

債権者保護手続きの流れ

債権者保護手続きは以下の流れに沿って行います。

  1. 官報公告へ掲載する:合併や会社分割の旨や1ヶ月以上の一定の期間内に異議申し立てできる旨などを公告する
  2. 債権者への個別催告:郵便はがきや封書で官報公告と同様の催告を行う
  3. 異議申し立てのあった債権者への弁済:公告や催告で定めている一定期間に異議申し立てのあった債権者へ、債務の弁済・債務相当の担保の提供・債務弁済を目的とした信託会社への債務相当の財産の信託、のいずれかの方法で弁済を行う

債権者保護手続きを行うときの注意点も確認しておきましょう。まずは官報公告掲載後からの異議申出期間を1ヶ月以上設定しなければいけません。合併や会社分割の登記を行うときには、債権者保護手続きが終了していることの証明も必要です。

加えて個別催告を行うときに、漏れがないよう注意しましょう。個別催告の必要な債権者へ個別催告をしないままだと、適切に債権者保護手続きを行ったとみなされません。

債権者保護手続きが不要なケース

M&Aであっても、手法によっては債権者保護手続きは不要です。例えば株式交換や株式移転を行うとき、債権者の利害へ大きな影響を及ぼすケースは少ないため、債権者保護手続きは原則としてする必要がありません。

また株式譲渡や事業譲渡は、そもそも債権者保護手続きについて法律で定められておらず、不要です。

独占禁止法に基づく届出

独占禁止法で規定している事前届出の対象となっているM&Aを行う場合、公正取引委員会による企業結合審査を受けなければいけません。

審査に必要な事前届出の前には、任意で「届出前相談」ができます。実施しなくても審査の結果に影響することはありません。ただし相談しておくと、届出書の書き方や関連する内容について質問できるため、スムーズに手続きしやすくなります。

株式譲渡・事業譲渡・合併の届出要件と必要書類をチェックしましょう。

株式譲渡の届出要件と必要書類

株式取得を行う企業が以下の要件を満たしているときには、独占禁止法で定めている事前届出の対象です。

  • 株式を取得しようとしている企業や、当該企業の所属する企業結合集団に属す当該企業以外の企業等の国内売上高の合計額が200億円を超えている場合
  • 株式発行会社とその子会社の国内売上高の合計額が50億円を超えている場合
  • 株式発行会社の総株主の議決権の数のうち、届出企業が株式取得後に所有する株式の議決権と、届出企業の属する企業結合集団の届出企業以外の企業が所有する株式の議決権を合計した議決権の割合が、新たに20%もしくは50%を超える場合

届出には様式の決まっている「株式取得に関する計画届出書」と以下にあげる4種類の「添付書類」が必要です。

  • 株式の取得に関する契約書の写しもしくは意思決定を確認できる書類
  • 届出企業の最近一事業年度の事業報告書・貸借対照表・損益計算書
  • 株式の取得についての株主総会の決議もしくは総社員の同意があったときにはその決議か同意の記録の写し
  • 届出企業の属する企業結合集団の最終親会社により作成された有価証券報告書その他当該届出企業が属する企業結合集団の財産や損益の状況を示すために必要かつ適当なもの

事業譲渡の届出要件と必要書類

事業譲渡を行うときに届出が必要なのは、国内売上高合計額が200億円を超える買い手企業が、以下の要件を満たしているときです。

  • 国内売上高30億円を超える企業の事業の全てを譲り受ける場合
  • 他社の事業の重要部分を譲り受ける場合に、対象部分の国内売上高が30億円を超えているとき
  • 他社の事業場の固定資産の全部か重要部分を譲り受ける場合に、対象部分の国内売上高が30億円を超えているとき

届出に必要な書類は、様式の定められている「事業等の譲受けに関する計画届出書」と、以下に示す6種類の「添付書類」です。

  • 届出企業と相手企業の定款
  • 事業譲渡の契約書の写し
  • 届出企業と相手企業の最近一事業年度の事業報告・貸借対照表・損益計算書
  • 届出企業と相手企業の総株主の議決権の1/100を超えて保有している株主の名簿
  • 届出企業と相手企業において、事業譲渡に関する株主総会の決議か総社員の同意があった場合には、その決議か同意の記録の写し
  • 届出企業の属する企業結合集団の最終親会社の作成した有価証券報告書、その他届出企業が属する企業結合集団の財産や損益の状況を示すために必要なもの

合併の届出要件と必要書類

合併を行うときに事前届出が必要なのは、合併する企業のうちいずれか1社が国内売上高の合計額200億円を超えていて、さらに他の1社の国内売上高の合計額が50億円を超える場合です。

ただし合併する全ての企業が同じ企業結合集団に属している場合には、届出は必要ありません。

届け出る書類は、定められた様式の「合併に関する計画届出書」と、以下にあげる6種類の添付書類です。

  • 届出企業の定款
  • 合併契約書の写し
  • 届出企業の最近一事業年度の事業報告・貸借対照表・損益計算書
  • 届出企業の総株主の議決権の1/100を超えて保有している株主の名簿
  • 届出企業で合併に関する株主総会の決議か総社員の同意があった場合には、その決議か同意の記録の写し
  • 届出企業の属する企業結合集団の最終親会社の作成した有価証券報告書、その他届出企業が属する企業結合集団の財産や損益の状況を示すために必要なもの

労働契約承継法に定められている手続き

会社分割のスキームでM&Aを実施するときには、企業で働く従業員の保護のために、労働契約承継法で定められている手続きを実施する必要があります。

まずは会社分割によって労働環境が大きく変わる可能性のある従業員に対し、理解を得られるよう説明が必要です。その上で以下にあげる「7条措置」「5条協議」を行い、「2条通知」を実施しなければいけません。

  • 7条措置:会社分割を実施するときに従業員の理解と協力を得る
  • 5条協議:労働者と協議を持ち希望の聞き取りを行う
  • 2条通知:会社分割前の労働契約を承継企業が引き継ぐことや、労働者が異議申し出の期限日など、定められている項目を従業員へ通知する

5条協議による聞き取りが不十分とみなされると、会社分割が無効になる恐れがあります。

なお承継会社へ引き継がれない主従事労働者や、承継会社に引き継がれる主従事労働者以外の労働者は、書面により異議を申し出ることが可能です。異議の申し出があった場合には、適切な対処が求められています。

金融商品取引法に基づく臨時報告書・有価証券届出書の提出

上場企業や有価証券報告書を継続して開示している継続開示会社が、合併・会社分割・株式交換・株式移転といった組織再編を行うときには、一定の場合を除き、金融商品取引法に基づき財務局長等へ臨時報告書の提出が必要です。

加えて有価証券届出書を提出するよう定められています。組織再編で上場企業や継続開示会社が消滅する場合、消滅会社の株主に情報開示されていない企業の株式が割り当てられる可能性があるためです。

株主へ十分な情報開示が行われていない状況には問題があるため、有価証券届出書の提出が求められます。

M&Aをスムーズに進めるためのポイント

M&Aを行うときに必要な手続きは多くあります。全てをスムーズに進めるには、ポイントを押さえて実行することが重要です。代表的なポイント5点をチェックしましょう。

M&A仲介会社やアドバイザリーなどを利用する

M&Aの手続きは自社のみで進めることも可能です。ただし自社のみで実施すると、手続きに手間がかかりすぎてしまうかもしれません。

例えばM&Aの相手企業を探そうとしても、自社で探す場合には、取引先や付き合いのある同業他社に限られます。限られた範囲内でM&Aを検討している企業が見つからなければ、そもそも相手企業が見つからずM&Aを実施できません。

相手企業をスムーズに見つけるには、売り手と買い手を取り持つM&A仲介業者へ依頼するとよいでしょう。取引のある金融機関への相談もおすすめです。金融機関ならではのネットワークで、相手企業の紹介を受けられるかもしれません。

交渉をできるだけ有利に進めたいと考えているなら、M&Aアドバイザリーへ依頼するとよいでしょう。希望の対価や条件を盛り込んで契約できるよう、サポートを受けられます。

成約後に実施するPMIも、専門家のサポートを受けるとスムーズです。シナジー効果をスピーディーに発揮するために有効活用しましょう。PMIの実績があるコンサルティング会社や、PMIのサポートを実施しているM&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどへ依頼できます。

全てを自社でやろうとせず、適切な依頼先に任せることで、より希望に合うM&Aを実施可能です。

M&Aプラットフォームを利用する

M&Aプラットフォームは、オンラインでM&Aの売り手と買い手をマッチングさせるサービスです。希望条件を設定すると、相手企業の候補を見つけられます。M&Aにかけられる費用は限られているけれどマッチングを利用したい、という場合に向いています。

見つけた相手企業の候補とは、直接やり取りが可能です。じかに希望条件を伝えたり、交渉したりできるため、タイミングがあえば短期間で契約が成立する可能性もあります。

仲介手数料がかからない分、コストを抑えやすい点もメリットです。成約すると料金が発生するケースや、月額料金がかかるケースがありますが、どちらもM&A仲介会社やM&Aアドバイザリーと比べると安く設定されています。

売り手であれば完全無料で利用できるM&Aプラットフォームもありますし、利用できるサービスも異なります。マッチングのみ利用できるプラットフォームの他に、専門家へ依頼し相談できるプラットフォームもあるため、自社で利用したいサービスを洗い出した上で、よく比較して選びましょう。

専門家からアドバイスを受ける

M&Aは関連する法律や手続きが多岐にわたります。スムーズに実施するには、専門家からアドバイスを受けるのが有効です。自社のみで実施するよりも、スピーディーかつ確実にM&Aを進められます。

例えばデューデリジェンスを実施するときには、各分野の専門家へ依頼しましょう。税務デューデリジェンスであれば税理士へ、法務デューデリジェンスであれば弁護士へ依頼します。

デューデリジェンスで行う資料のチェックや聞き取りは自社で実施することも可能です。ただし慣れていない業務は時間がかかりますし、見落としが発生することもあるでしょう。専門家なら気付けたリスクに気づかず、思わぬリスクを負わなければならないかもしれません。

M&Aにかける時間が増えすぎてしまい、本来の業務に支障が出る恐れもあるでしょう。業績に影響すれば、値下げ交渉につながることや、契約に至らないこともあります。

取引先に対して十分な情報を提供する

自社の情報を取引先へ十分提供することもポイントです。M&Aを実施するかしないか判断するには、相手企業の詳細について知っていなければいけません。情報開示が不十分では、検討に上らない可能性があります。

情報を提供するときには、正しい情報を提供することも重要です。不利になる情報であっても正直に伝えることで、相手企業はM&Aの実施について適切に判断できます。

また不利な情報を故意に隠していた場合、そのことが分かったときに信頼関係が失われ、契約に至らないかもしれません。

従業員に対して十分な情報を提供する

従業員へM&Aに関する情報を提供することも重要です。適切なタイミングでM&Aの実施や相手企業について説明しない場合、売り手企業では「M&Aをするらしい」「会社がなくなるらしい」といううわさで、社内が混乱する可能性があります。

不安に思った従業員が離職する恐れもあるでしょう。万が一大量離職につながれば、業務が滞りますし、企業価値が低下し当初期待していた取引ができないかもしれません。

従業員へ情報提供するときには、説明会の実施や、個別の面談を実施するとよいでしょう。不安な点や確認しておきたい点はないかよく確認し、全従業員の理解を得られるようにします。

まとめ

ここまでM&Aの流れを見てきました。必要な手続きが多く、関連する法律もさまざまです。スムーズに行うには、M&Aアドバイザリーや各分野の専門家のサポートがあるとよいでしょう。

自社のリソースだけでは手間がかかる手続きも、サポートを受けられれば時間と手間を短縮できます。専門家のアドバイスが譲渡対価に影響を及ぼすこともあるでしょう。

M&Aは業界によっても求められる知識が異なります。業界に特化したM&Aアドバイザリーを選べば、事業への理解度が高く、スムーズに話を進めやすいでしょう。

IT業界でのM&Aを検討している場合には、M&A BASEへ無料相談をしてみてはいかがでしょうか。IT業界に精通したプロによる的確なサポートを受けられます。

 

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